住宅知識

クレーマーと呼ばれないよう依頼ごとは必ず書面を取り交わすこと

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売る側と買う側とでは、そもそも目的が違います。
売る側は、最終的に買っていただいて商品を高く評価していただくことが目的です。
買う側は、買った商品で満足することが目的です。
このように、異なる目的で双方とも満足させるというのは結構難しいことです。
ただ、買う側が満足すれば、売る側も満足することが多いでしょう。
ところが、売る側がいくら満足しても、買う側が満足しなければ、どんなに良い商品であっても良い評価は得られず、売る側のその後の対応が悪ければ買う側は「クレーマー」となって報復してきます。

皆様は、住宅メーカー側から「クレーマー」と呼ばれたいですか?
呼ばれたいと思う人は多くないでしょう。
仮にクレームを申し入れなければならない状態になったとしても、「自分はクレーマーなどではない。至極当然のことを言っているだけだ」と言われるでしょう。
ただ、住宅メーカーは自分たちのミスが元で生じたクレームの申し入れであっても、クレーマーとして対処することが少なくありません。
そのクレームの原因がどこにあるのかより、一秒でも早く苦情処理を終わらせたいと思っています。

それってクレーマー?

たとえば、キッチンや洗面台などの設備機器の搬入はフローリングを張り終わったあとに行いますが、搬入中に機器を落としてしまったり、壁にこすってしまったりして、内装品を傷つけたるすることがあります。
このような場合、引き渡し前の検査で発見して修復をするわけですが、クロスやフローリング、建具がその被害に遭うことが多く、そのどれもが「交換」するには大変手間がかかるものです。
そこで、傷をつけてしまったところを「補修」するわけですが、その補修が上手でないと、施主に見つかってしまうわけです。
施主はそのような傷や補修痕を見つけると、大半が「良品交換」を求めてきます。
その「良品交換」を求めてくる施主のことを、メーカー側はクレーマーと呼びます。
それってクレーマーでしょうか?
良品交換を求めることは当然であり、権利でもあります。
引き渡し前に起こったことですから、施主には何の責任もありません。

確かに分かるんですよ。
すでに張り終わったフローリングやクロス・建具枠の良品交換など現実的でないことは。
ましてフローリングなど「さね」に挟んで留めていますから、たった一枚のフローリング交換は、周りを巻き込んでの大規模な交換となってしまうわけです。
クロスにしても建具枠にしても、そのものだけを交換するというわけにはいかず、やはり周りを巻き込んでの交換になります。
当然その頃には大工の仕事は終わっていて、現場には大工は居ません。
フローリングや建具枠の交換工事となれば再び大工を呼んでの工事となりますが、大工からすれば自分たちが引き起こしたミスが原因ではないうえ、他の現場で仕事をしているのが普通ですから、呼ばれてすぐに対応できないことが多いわけです。
だから、工事の最中に起こった事故が原因であっても、何とか補修で済ませたいのは当然です。
補修となれば、傷が付いた部分に補修材などを使って傷を埋めるわけですが、補修した箇所をよく見ると光の角度や加減などで結構分かってしまうんですね。
施主からすれば決して気持ちの良い話ではありません。
自動車だったらあり得ない話ですから。

クレーマーと呼ばれないように

そこで、施主がメーカーからクレーマーと呼ばれないようにするために、事前にメーカー側に申し入れをしておきます。
上記の事例で言えば、

  • 傷をつけたものに対しては、補修ではなく良品と交換することを条件とする
  • 引き渡し後に補修痕を発見した場合、良品交換を要求する

と言うように、契約時に施主側から条件を盛り込ませると良いでしょう。

それ以外にも建築工事中はクレームになり得ることが多々存在します。
よくあるのが「施主が現場で直接指示をする」ことです。
これは、絶対にやってはいけません。
現場への指示はメーカー・ビルダーが行うもので、施主が行うものではありません。
工事中はたとえ契約後であっても、メーカー・ビルダーが施工を行っている最中で、まだ施主のものになっていません。
指示は施主の担当者に絞ることです。
施主担当の者に指示をするにしても、電話や口頭のみ、メール・FAXなどは御法度です。
必ず面談し、書類を双方に残させることです。
最近は気軽にメールで依頼ごとを送信する施主が多くなりましたが、メールやFAXはトラブルの元。
送った方は自信を持って「送った」と言い切りますが、受け取った方が「受け取っていない」と言えば話は完結。
送信トレイに文書が残っていたとしても、双方が合意したといえるものではありません。
必ず担当者に対面の上、指示する内容の文書と合意した証の文面を双方1部ずつ持ち合ってください。

これから永く住む大切な自分たちの住まいです。
このくらいは是非やって、売る側も買う側も満足できるようにしたいものです。

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