住宅提案

自然の中で生まれたものを自然のまま利用し最後は自然に帰すべき

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20050610_environment

住宅を構成する建築材料は、そのほとんどが化学製品であり、煮ても焼いても有害な物質になることはすでに知られています。
一つ一つ上げてみてもキリがありませんが、身近で多用する材料のひとつに、壁紙に使われている「ビニールクロス」があります。
ビニールなのに「紙」とはこれ如何に…。
このビニールクロスは一般のゴミには出せません。
産業廃棄物として処理しなくてはいけません。
つまり再利用できないんですね。
ここで言う再利用とは「もう一度使う」と言う意味ではなく、廃棄した後でも何らかの役に立てる、他に使い道があると言う意味です。
ビニール製ではなくて、布や紙、羊毛や綿の壁紙だったら問題ありません。

地球の環境を考えているということ

たとえば無垢の木材を土に埋めたら、土の水分などで木が腐り、やがて腐った木の養分を大地や生き物が受けて土が活性化し、他の木や草の根がその養分を吸い、再び新たな生命が誕生する、と言った、生態系の一部になるわけです。
ところが工業製品といえるビニールクロスをはじめとする化学製品は、土に栄養分を与えるどころか、有害な物質を土に与えてしまいます。
だから産業廃棄物として処分するしかないわけです。
古民家の時代には考えられなかったことですが、今の住宅に無くてはならないものになってしまったこれら化学製品ですが、ここ数年でこの化学製品の使用が抑えられはじめています。
化学製品を抑え、自然素材を使用した家がだいぶ増えてきているようです。
しかしこの「自然素材を使う」と言うことが「地球の環境を考えている」と言うことにつながるとは限らないのです。

「地球の環境を考えている」というのは、地球上にある全ての生命を本来の姿のまま安定させるために、我々人間がそれらの活動を崩さないようにする、と言うことです。
もう少し現実的な言い方をすれば、「家を建てるために木を切ったら、そこには適切な量の木を改めて根付かせ、大地と緑の生命を吹き返してあげなければならない」と言うことです。

弱肉強食と言われている肉食動物と草食動物の関係は、バランスの取れた生態系と言えます。
しかし人類は、経済発展(自分たちの利益)のためだけに木を切り、闇雲に植林し、家畜を無用に多く育て、廃材を投棄し、有害物質を川や空にまき散らし、油の奪い合いのために海を戦場とする、まるで何も考えていない生き物であることは明白です。
そして、安くて施工性が良く見栄えのよい売りやすい家にするために、化学製品の家を建てる。
これらの行為が「地球環境を考えていない」と言うことなのです。

環境を考えた家=人に優しい家

日本には多くの大手住宅メーカーが存在しますが、この地球環境のことを考えている住宅メーカーは非常に少ないのが実情と言えます。
むしろ地域ビルダーのほうが、地球環境に対して敏感です。
かなりの勢いで地球環境を考えたビルダーが増えているのも事実です。
もちろん、知識も仕入れ先も技術もない口先だけのビルダーもあります。
本当の意味での「地球環境を考えた家づくり」が出来る会社なのかどうか、的確な目で判断しなければならなくなるでしょう。
ちょっと前までは、産業廃棄物をしっかりと分別することが「地球に優しい」とされていました。
しかし今では『あたりまえ』のことです。
最低レベルのことです。

残念ながら現在の建築基準法に則れば、一部の材料において「自然の中で生まれたものを自然のまま利用し、最後は自然に帰す」ことはできません。
たとえばツーバイフォー工法の構造壁を「合板」で施工しなければならないこと。
合板はもともと木ですが、それらを目が互い違いになるように薄く複数枚貼り合わせたものですから、そこには貼り合わせるための接着剤が必要です。
この接着剤は化学製品です。
デンプンだけを利用した建築用の接着剤に膠(ニカワ)などがありますが、今はほとんど使われていません。

本当に地球に優しいのは「自然の中で生まれたものを自然のまま利用し、最後は自然に帰す」ことです。
少しでもこのような製品を使用せず、地球環境を本当に考えた家づくりを一番先に考える、これが日本における住宅の最先端を行くメーカーの義務ではないでしょうか。

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